まちかど展示館

Voice Guide

  • ENGLISH
  • 한국어
  • 中文

三勝ゆかた博物館管理者:三勝株式会社(平成23年度認定)

ゆかたの本場に残る精緻な意匠

時代に流されず守り抜いた技法

明治27年(1894年)に創業した、ゆかた製造卸の老舗「三勝」。同社が手掛ける『三勝ゆかた博物館』は、地下鉄人形町駅からほど近い、本社1階のショールームに併設されています。
ゆかたの本場は東京で、とくに中央区日本橋界隈は繊維問屋街として発展してきました。中でも「三勝」は、化学染料や新しい染色技法など、合理的に着物をつくることが流行した時代にも妥協せず、すべて手作業による昔ながらの染色技法にこだわり続けてきました。そのものづくりを牽引してきたのが、専属の染職人だった清水幸太郎さんでした。彼は卓抜した技術から昭和30年(1955年)に重要無形文化財に指定されました。その技法とは、江戸時代から伝わる「長板中形(ながいたちゅうがた)」というものです。

人間国宝が残した藍一色の粋

「長板中形」は、型付けに6mほどの長板を用い、生地の表裏両面に型を置いて細かな柄を継ぎ目なく染色するものです。表裏の文様を合わせる修練が必要なうえ、小紋より二倍手間がかかるという高度な技法です。しかも木綿という素材の性格から普段着としての認識しかなく、高価にはならず、職人が次第に減少していきました。しかし、藍一色のみで染め柄を引き立て、歩いた時には裏の柄が見え隠れする、そんな長板中形の繊細で上品な美しさこそ、まさに江戸の粋そのものだといいます。
「清水幸太郎の作品はじめ、戦禍から逃れた貴重な資料などをこれまで大切に整理保存してきたのが幸太郎の三男で、博物館の前館長・清水敬三郎でした」と同社会長・天野豊さんは、清水さん親子について語ってくれました。

多彩な展示でゆかた文化を伝承する

博物館には幸太郎さんの精巧無比な作品のほか、明治・大正・昭和といった時代別の反物、過去に使用された多数の伊勢型紙、染色の道具類、あるいは大正時代の雑誌やポスターほか、染色前の反物や新作も陳列されています。展示品は随時入れ替えるとのことです。
ゆかたは、見る人に“涼しい”と感じてもらうために装うもので、人様のために着るのが和装の文化なのだといいます。しかしゆかたをはじめ現代の日本の伝統工芸は、ごく限られた人たちによって守られているのが実情です。これをどのようにして未来へ継承していくかは、業界の大きな課題です。
「百年先を意識しつつ、様々な提案をしていかなければなりませんが、そのひとつがこの博物館です。これだけ貴重な資料は他では観られないと思います」。清水親子が二代にわたり守り抜いてきたコレクションを前に、少しでも多くの方に本物のゆかたの魅力を知ってほしいと天野さんは語っていました。

前館長清水 敬三郎さん

ˆ
■展示館インフォメーション
三勝ゆかた博物館管理者:三勝株式会社(平成23年度認定)令和5年9月1日~令和6年春まで休館
住所 東京都中央区日本橋人形町3-4-7地図 開館日 月、火、木~土曜日
(祝日・年末年始等を除く)
1週間前までに予約が必要です
電話 03-3662-3860
(平日11:00~16:00)
メール contact@sankatsu-zome.com
お名前・ご住所・電話番号・来館人数を
記入してください
開館時間 14:00~16:00
見学は1時間以内でお願いします
HP http://www.sankatsu-zome.com/ 最寄り駅 人形町駅A5番出口 徒歩2分
MOVIE
まちかど展示館一覧に戻る

TOP