まちかど展示館

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銀座かなめ屋・
かんざし和装小物展示館管理者:株式会社 かなめ屋柴田(平成30年度認定)

希少な江戸べっ甲と和装の美を伝え続ける

銀座通の作家も通う粋な和装小物の名店

——かなめ屋の細長い店内には、べっ甲の髪飾りや帯留めをはじめ、蒔絵のかんざしがぎっしりと並んでいる。小さなかんざし美術館といった感じだ。——
これは嵐山光三郎著『とっておきの銀座』(講談社刊)の一節。銀座通の作家も好んだ『銀座かなめ屋』は、頭の先から足元まで着物の着こなしに必要な小物を取り扱う専門店です。とくに、べっ甲のかんざしや髪飾りなどの品揃えは銀座で一番といわれる老舗です。
「私どもは1934年(昭和9年)に日本橋で創業し、終戦後にこの銀座8丁目の見番通りに移ってきました」と語る三代目店主の柴田光治さんは、SNSなどを通じて和装小物の美しさや日本の伝統工芸の魅力を広く発信し続けています。

「あめ色」の光沢と精緻な細工に魅了される

『まちかど展示館』として銀座地区で初めて認定された『かんざし和装小物展示館』は、店内の一角、小さなショーケースが展示の中心ですが、そこには柴田さんの伝統工芸に対する強い想いがギュっと凝縮されています。
取材当日に披露されていたのは「総白べっ甲花嫁かんざし一揃え」でした。べっ甲の中でもとくに、貴重とされる白べっ甲のかんざし、髪飾り、笄(こうがい)、櫛がしっとりした上品な光沢を湛えていました。繊細な透し彫りなどの精緻を極めた匠の技は実に見事で「今ではちょっとした美術館でも見ることのできない希少な逸品」とか。ほかにかんざしや櫛の制作に用いられる工具、べっ甲に関する江戸時代の文献の復刻版、かんざしにまつわる亀甲文字も飾られています。展示品は不定期に入れ替わり、象牙細工など、数々の価値ある小物をご覧いただけます。

貴重な伝統工芸を絶やさぬ努力

べっ甲細工の製造技術が長崎から江戸に伝えられたのは元禄期のことで、かんざしなどの装身具として発達したのが江戸べっ甲の始まりです。そして約300年に渡り、技術は継承されてきました。江戸べっ甲は東京都の伝統工芸品、国の伝統的工芸品に認定されていますが、べっ甲を扱う企業も職人も減り続けています。べっ甲の原材料である海ガメの一種タイマイは、ワシントン条約により輸出入が禁止され、国内の在庫を少しずつ大切に使用するという厳しい現状が続いています。
また、世界のショッピングエリアといわれる銀座の表通りから、和装小物の店は姿を消してしまったそうです。今まさに失われつつある和装文化に危機感を抱く柴田さんは「今後育っていく子どもたちに、せめて浴衣の着方くらいは知っていてほしい」と考えています。
店内には展示品以外にも滅多に見られない小物類が多くあり、見逃せません。柴田さんがお店にいらっしゃれば、貴重なお話もうかがえるはずです。

お話を伺った方

3代目店主柴田 光治さん

■展示館インフォメーション
銀座かなめ屋・かんざし和装小物展示館管理者:株式会社 かなめ屋柴田(平成30年度認定)
住所 東京都中央区銀座8-7-18(見番通り)かなめ屋ビル1F地図 開館日 月〜土曜日(祝日・年末年始等を除く)
電話 03-3571-1715 開館時間 平日/11:00〜20:30
土曜/12:00〜19:00
HP https://www.kanameya.co.jp/ 最寄り駅 銀座駅B3番出口 徒歩5分
新橋駅銀座口 徒歩3分
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