国内外の印刷機や歴史的印刷物がぎっしり!
明治6年(1873年)平野富二は築地に長崎新塾出張活版製造所を興し、後に株式会社東京築地活版製造所と改称、日本の印刷文化の源泉となりました。以来中央区は日本印刷文化の中心地となり、いまなお印刷会社が数多く存続しています。平野富二は石川島に造船所を開きましたが、日本初の印刷機も製作しました。
その機械を所有、展示しているのが『ミズノプリンティングミュージアム』です。この国産第一号の活版印刷機は日本の「機械遺産」に選定された大変貴重なものです。ほかにも国内外の古い印刷機、古今の歴史的印刷物などがぎっしりと陳列され、館内に入ると濃密なコレクションに圧倒されると同時に、人類が印刷術にかけた情熱が伝わってきます。
現存する世界最古の印刷物〈百萬塔陀羅尼経〉
この展示館は地下鉄新富町駅から歩いて5分ほど、中央区入船のミズノプリテック株式会社6階にあります。同社の会長・水野雅生さんが展示館の館長を務めて公開(見学には事前予約が必要)しています。
「50年ほど前にケンブリッジ大学の図書館で、世界最古の現存印刷物が日本の〈百萬塔陀羅尼経〉だと知り、日本こそ印刷の歴史・伝統を誇れる国と教えられました。その出会いをきっかけに印刷の歴史を追い求めるようになり、印刷物や機器の収集がライフワークとなりミュージアムを開くまでになった」といいます。収集の発端は、世界初の近代印刷物であるグーテンベルクの〈42行聖書〉原葉を入手したことからはじまりました。
「花子とアン」に登場した印刷機
コレクションの一例をあげると、印刷の源流であるメソポタミアの粘土の本、印刷物でもっとも美しい本とされるケルムスコット・プレス版〈チョーサー著作集〉、前出の〈百萬塔陀羅尼経〉、福沢諭吉の〈学問のすゝめ〉(初版本及び初編から17編)など、印刷文化史上著名な貴重書がショーケースに多く積まれています。
またNHK朝の連続ドラマ「花子とアン」で、関東大震災後に「王子と乞食」を印刷するシーンに登場したのは前出の「機械遺産」の印刷機で、同ミュージアムが貸し出し、水野さんが印刷技術指導もされたそうです。
印刷は「ルネッサンスの三大発明」のひとつとして、コミュニケーションを飛躍的に向上させましたが、現在はあまりにも日常的なものとなりその価値を忘れがちです。価値ある印刷物を前にすると、印刷の発展が文明にどれだけ寄与したかを深く感じさせられます。
お話を伺った方
館長水野 雅生さん
■展示館インフォメーション | ||||
ミズノプリンティングミュージアム管理者:ミズノプリテック株式会社(平成23年度認定) | ||||
住所 | 東京都中央区入船2-9-2 ミズノプリテック株式会社 6F地図 |
開館日 | 月~金曜日(祝日・年末年始等を除く) 訪れる際には事前の予約が必要です |
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電話 | 03-3551-7595 | 開館時間 | 10:00~12:00、13:00~16:00 | |
HP | https://www.mizunopritech.co.jp/mpm/ | 最寄り駅 | 新富町駅7番出口徒歩 5分 八丁堀駅A2番出口徒歩 5分 |