新しい日本橋のシンボル的な新店舗
『聚玉(しゅうぎょく)文庫ギャラリー』とは、和紙舗の老舗「榛原」が集積してきた資料を広く公開しているギャラリーのことです。所蔵資料は江戸、明治、大正期を中心とする肉筆画、摺り物、画稿、版木、千代紙、彫刻などの美術工芸品、書籍類、原稿などの歴史的な資料です。場所は地下鉄日本橋駅すぐ近く。日本橋交差点角という江戸文化の起点とともいえるシンボリックな地点です。
「榛原」はこの地で文化3年(1806年)から商いを続けてきましたが、東京日本橋タワー建設に伴い、2015年に店舗が永代通り沿いから中央通沿いに移転開設されました。新店舗は「伝統と進化」を象徴したデザインで、これからの日本橋のシンボルともいえる、モダンでしかも日本情緒の香る仕上がりです。建物の外装は、明治大正期の榛原千代紙の人気図案である「色硝子」を壁面全体の煉瓦で表現しています。
各時代の人気作家による千代紙や団扇絵
入り口の大きな瓦庇は創業時の土蔵造りをイメージし、庇の下に掲げられた白い暖簾には「雁皮紙(がんぴし)」の文字。これは同店がはじめて江戸で売り出した高級和紙の名前です。滑らかな紙肌と光沢を特徴とするこの良質な和紙が江戸の人々の間で大人気となり、同店の礎の基となったといいます。
また、千代紙や団扇絵の図版を当代の人気作家に依頼し、木版摺りした商品も人気を博しました。江戸時代には酒井抱一、渡辺華山、椿 椿山など。明治の河鍋暁斎、柴田是真、そして大正期以降は竹久夢二、川瀬巴水、伊東深水など。とくに三代目、四代目当主らは画家たちと交流を深め、彼らの活動の支援もしました。こうした榛原と深い結びつきのある画家たちの原画などの資料が「聚玉文庫」に多く残されているのです。
季節感を盛り込み月替わりの展示
ギャラリーは店内の右手奥のショーケース。展示は毎月変わります。取材に伺ったときは「梅」をテーマに夢二の梅の花が展示されていました。同店ならではの解説も興味深く、見応えは十分。季節感も感じられる楽しい企画です。
「和紙そのものをお売りするだけではなく“和紙のある暮らし”をお伝えしています」と広報担当の中村陽子さんはいいます。良質の和紙や意匠を凝らした金封や便箋、和文具など、店内の商品にも心が和みます。
お話を伺った方
中村 陽子さん
■展示館インフォメーション | ||||
聚玉文庫ギャラリー管理者:株式会社 榛原(平成25年度認定) | ||||
住所 | 東京都中央区日本橋2-7-1 東京日本橋タワー地図 |
開館日 | 通年(祝日・年末年始・盆休みを除く) | |
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電話 | 03-3272-3801 | 開館時間 | 10:00〜18:30 (土日は17:30まで) |
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HP | https://www.haibara.co.jp/ | 最寄り駅 | 日本橋駅B6番出口 徒歩1分 |