染め物に伝わる江戸の粋
江戸っ子が愛してきた染物に関する貴重な資料を展示しているのが『染物展示館・虎の檻』です。設けられているは日本橋浜町、明治座近くの浜町公園前。手染めの江戸手ぬぐいなど和装小物を扱う工房「濱甼髙虎」。
浜町界隈は江戸時代には多くの職人が暮らし、とても粋な町だったとか。「濱甼髙虎」はその雰囲気を今に残し、店に一歩足を踏み入れると手ぬぐい、のれん、袋物、半纏など、洒落た伝統工芸品が所狭しと溢れています。展示品は店の中程にあるショーケースに。精緻な柄の型紙、型彫りや染色のための道具。そして半纏、手ぬぐいなどの図案の見本帳。中には東京都文化指定品など貴重なものもあり見応え十分です。
染元の技を今に伝える
「髙虎」という屋号は初代「髙橋虎雄」に由来しているそうですが、開業は昭和23年(1948年)のこと。ただ前身は江戸後期の日本橋人形町で「紺屋」とよばれた染元として創業した老舗です。染元とは染色に関わる数々の工程を管理し、また、自らも図案や型紙制作、一部の染色などを行い、商品をつくり上げる職業です。その染元の仕事のさまざまな段階のものが展示されているのです。そしてこれまでの技術を受け継ぎ、今も図案から型彫り、染色工程にまで関わり、のれんや半纏、袋物などを店の階上で仕立てています。しかし、受け継がれてきたのは技術だけではありません。図案に洒落っ気や意味を含める江戸のこだわりも脈々と受け継がれているのです。
江戸職人の心意気を絵に込める
店内を見回すと、江戸の遊び心をとりいれた染め物の絵が目に入ります。例えば、合財袋に描かれた骸骨がキセルで一服しているのは「骨休め」。5匹の猿は「ご縁(猿)でご“ざる”」。若者向けのTシャツには菊の柄がプリントされていました。これは菊だけ=聞くだけヤボという意味。おまけにデザイン化された菊の花びらはよく見るとyaboの文字が隠されていました。こんな「判じ絵」はお店で種明かししてもらうとより魅力的になってきます。
「虎の檻」という展示館名も洒落っ気たっぷりです。店は大きなショーウィンドウで2面を囲われ、店内にいた二代目店主は外から覗かれて「まるで檻の中の虎だ」といったそうです。今も残る江戸の雰囲気にたっぷり浸れる展示館です。
お話を伺った方
髙林 晋さん
■展示館インフォメーション | ||||
染物展示館・虎の檻管理者:有限会社高虎商店(平成26年度認定) | ||||
住所 | 東京都中央区日本橋浜町2-45-6地図 | 開館日 | 月〜土曜日(祝日・年末年始等を除く) | |
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電話 | 03-3666-5562 | 開館時間 | 9:00〜18:00 (土曜日のみ17:00) |
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HP | http://www2.gol.com/users /ip0611031455/ |
最寄り駅 | 浜町駅A2番出口 徒歩1分 |