まちかど展示館 エリア特集

【連載】フランス人銭湯大使の

フランス人銭湯大使の 最近銭湯に行きましたか?

かつて日本人の生活に欠かせない場所だった銭湯。 近年数は減っているものの、現在中央区にも8軒あり、人々の憩いの場として今なお地域に根付いています。 そんな銭湯の魅力を世界に向けて発信しているのが、フランス人銭湯大使、ステファニー・コロインさん。
ステファニーさんが中央区の銭湯を訪ね、その良さをたっぷりと紹介します!

第4回 本当のふれあいが銭湯にはあります。

インターネットの普及に伴い画面上のコミュニケーショが増えた一方で、最近では実際の人との会話など、
現実世界のコミュニケーションの大切さが改めて求められるようになってきました。
今回はそんな「ふれあい」を観て、話して感じる銭湯の楽しみ方をご紹介します。

【日本橋エリア編】

銭湯は、小さな美術館

 意外にピンとこない方もいるかもしれませんが、銭湯には本当に多くの「アート」がちりばめられています。
 宮造り建築の建物や、壁一面に描かれた富士山のペンキ絵、色とりどりのタイルアート、美しい縁側、などなど。
 銭湯のアートは、そのご主人の趣味や思い入れが表現されることがよくあるので、そう言った目線からも楽しむことができます。
 中央区日本橋小伝馬町の「十思湯」では、歌川広重の富士山と日本橋の浮世絵が壁絵に描かれているように、その土地ならでは芸術に出会えることも。
 まさに美術館かとも思えるような銭湯も数多くありますので、ぜひ探してみてくださいね。

文・写真/ステファニー・コロイン

ステファニー・コロイン銭湯ジャーナリスト/銭湯大使(日本銭湯文化協会公認)

南フランス出身。日本文学に興味を持ち留学で来日した際、初めて銭湯と出会う。
現在は、銭湯文化を世界中に広めるためブログやインスタグラムで銭湯の情報を発信。
日本全国の銭湯を巡り、テレビやラジオの出演も行う。これまでに行った銭湯は800軒以上。
2018年夏に新刊『フランス女子の東京銭湯めぐり』(株式会社G.B.)を出版。
WEB:dokodemosento.com Instagram:@_stephaniemelanie_

残念ながら、今年4 月末に閉業が決まってしまいましたが、今回は、人形町にある「世界湯」を紹介します。
浴室に入ると、広く高い天井と、男湯女湯にまたがって描かれた迫力のある富士山のペンキ絵がとても開放感のある雰囲気を作り出しています。印象的なのは、手入れが行き届いた真っ白なタイルとピカピカの鏡。戦後、建て直したという世界湯ですが、その当時の作りのまま、丁寧に修理を重ねてこられました。
「壊れた部分を直したり、修理するのが大好きなんだよね。」と楽しそうにお話しするのは、2代目の油本さん。
65年もの月日がたっているのにも関わらず、当時の姿を残し、同じ空間を維持されていたことに、心が揺さぶられる思いです。常連さんの楽しそうな声が響き渡る世界湯は、人形町という町のふれあいの場であり続けました。

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