まちかど展示館 エリア特集

日本橋エリア特集 Part.3 江戸っ子の夏に想いを馳せて日本橋エリア特集 Part.3 江戸っ子の夏に想いを馳せて

三勝ゆかた博物館

明治27年創業のゆかた製造卸・三勝の展示館。
現代のゆかたに受け継ぐ江戸の技を知る。

明治から平成のゆかたの変遷のほか貴重な資料を多数展示。入館は予約が必要です。運が良ければ館長のお話が聞けるかも。

かつて会社名やマーク、町会名などを入れて祭の度に作られた「注染染(ちゅうせんぞ)め」のゆかた地。ゆかたにたすき掛けで神輿を担ぐ人も多かったそう。

ゆかた地を使った手拭いは見学の記念やお土産にオススメ。外国の方にも人気です。

スクリーン染め等で作られる現代の子供用 祭袢纏。

大正時代の「鯛中鯛(たいのたい)」という柄を三勝染めで復刻したゆかた。鯛の骨を「めでたい鯛の中のさらにめでたい形」として図案化、縁起物として喜ばれたとか。

長板中形とは?

約6mのモミの1枚板に綿生地を張り、型紙を順々に置いて白く残す箇所にヘラで糊を引きます。乾燥後、裏返して表の模様にピタリと重なるようまた同じ作業を。こうして糊付けした生地を藍甕(あいがめ)に何回も浸して染色します。柄のつなぎや表裏の合わせが大変難しい技術で、昭和30年に先代清水幸太郎氏が重要無形文化財に認定されました。

加賀友禅を代表する作家、初代・由水十久(ゆうすいとく)氏が描いた大変珍しいゆかたも展示。童子の図案で有名な巨匠の作品を堪能できます。

注染染めとは?

関西発の技法を三勝が大正期にゆかた用として確立。1m程の型紙を用いて生地を折りながら糊置きし、熱した染料をジョウロで注いで染めます。部分的に色を挿せるので多彩な色柄ができ表裏なく鮮やか。「三勝染め」と呼ぶ主力製品です。

―お祭の衣裳は作っていますか?
前の東京オリンピック頃まで、夏祭にはよく柄から作った揃いのゆかたを着ました。今は神輿の担ぎ手は皆袢纏(はんてん)ですが、昔はゆかたを着る所も多かったです。長年うちで作っている町会さんもいますよ。
―ゆかたはいつ頃広まった?
江戸では大名達が登城する際に裃(かみしも)の下に小紋を着たため、型紙を使って反物を染める小紋職人が三百人いたと言います。また湯屋が江戸に何百軒もでき、入浴後2階で飲んだりする庶民の社交場になりました。そこでゆかたが着られ始め、天保期に贅沢を禁じられた庶民は裃小紋の小さな柄を綿の着物に取り入れたようです。長い板の上で小紋よりやや大きい中形の柄を付けるため、当時はゆかた地のことを「長板中形(ながいたちゅうがた)」と呼びました。幕末には小紋職人の半分がゆかた職人になったとされ、明治以降大流行したんです。
―お父様は人間国宝でしたね
父の幸太郎は、三勝の専属職人だった祖父に中学の頃から弟子に入りました。私が子供の頃、父は一年中ほとんど家の隣の板場(いたば)(作業場)にいました。「長板中形は10歳から修業しないと一人前の職人にはなれない」とよく言っていましたね。今ではこの辺でゆかた製作は3軒となり、長板中形ができる職人は数人ですが、できる限り残していきたいですね。
この辺は椙森神社の氏子。昔は問屋の人も神輿を担いだよ。

お話を伺った方館長
清水 敬三郎さん

三勝ゆかた博物館

管理者:三勝株式会社(平成23年度認定)
東京都中央区日本橋人形町3-4-7
03-3661-8859(10:00~17:00)
開館日:月~金(祝日・年末年始等を除く)※要予約 
開館時間:①15:00~ ②16:00~(2部制)
最寄り駅:人形町駅A5番出口 徒歩2分
HP: http://www.sankatsu-zome.com/
※臨時休館や開館時間短縮の場合があります。
 詳しくはお問い合わせください。

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