まちかど展示館 エリア特集

銀座・京橋の「通り」へ、先人の技と文化を受け継ぐ展示館を訪ねました つくり続けて唯一無二の存在へ銀座・京橋の「通り」へ、先人の技と文化を受け継ぐ展示館を訪ねました つくり続けて唯一無二の存在へ

渡邊木版画展示館

ブランドが立ち並ぶ並木通りに今も摺師(すりし)が!
浮世絵の命を救った版元で木版画の魅力を堪能。

江戸時代の浮世絵

歌川広重「名所江戸百景」より
『びくにはし雪中』/1858年(復刻版)
広重が通称“山くじら”で描く比丘尼橋は京橋川にあった橋。「“○やき”は焼き芋屋(○は切り口)、左は猪肉の山くじら屋。江戸時代でも薬食と言って食したそうです。」と渡邊さん。

摺りの写真や木版画の道具を展示。

今も同じ道具を使います。

“赤富士”の摺りの工程

浮世絵では通常、最初に輪郭線を摺り、薄い色から各版をズレないように摺り重ねます。摺りの回数は15〜20数回が多いのに対し、この北斎の代表作ではたった7工程で雄大な富士の姿を表現。商業作品として手間を省きながら世界中で愛される偉大な芸術に!

葛飾北斎「富嶽三十六景」より『凱風快晴』(復刻版)

創業者が生んだ新版画

川瀬巴水「東京二十景」より『芝増上寺』/大正14年(復刻版)
作者は新版画を確立した画家として知られます。「増上寺の朱門をはすに大きく、松一株を近景にして、吹雪する中を傘をすぼめていく女ひとり。風のまにまに飛乱する雪片の景趣、雪にたわむ松の枝が風にゆれている。巴水全作品中での傑作。(渡邊さん)」

左)大正5年のお正月に店の前で撮った貴重な写真。中央の初代・渡邊庄三郎さんが明治42年京橋に創業。
右)京橋の店は関東大震災で作品や版木ごと全焼し大正14年に現在地で再開。昭和14年に建て替えた写真。

復刻版の浮世絵や新版画には手頃なサイズも多く額装もできます。インテリアとして選ぶ楽しみも。

彫り、摺りまで作家が行う現代の創作版画作品も多彩。

お店の7階には今も摺りの工房があり、摺師が江戸時代からの技法で木版画を制作。バレンの技術も腕の見せ所!

取材時は来年のカレンダー摺りの真っ最中でした。(※工房は非公開)

―木版画にはどんなものが?
まずは江戸中期から盛んに作られた多色摺りの浮世絵版画、通称「錦絵」です。江戸の庶民向けの商品、エンターテイメントだったのですが、それが全国にも世界にも広まって芸術として評価されました。けれども明治末期には印刷や写真が広まり、錦絵の技術は絶滅寸前になったんです。浮世絵に魅せられた祖父の庄三郎はそんな明治42年に、彫師と摺師を抱えて版元として創業しまして、大正に入ると「新版画」という新しい浮世絵木版画を生み出すことに注力しました。
―新版画と浮世絵との違いは?
大きな違いは初めから芸術作品として世界に通用するものをめざしたことです。最初は日本画家がその依頼に応えてくれず、外国の画家であるカペラリやバートレットが絵師となって始め、その後伊東深水(いとうしんすい)、川瀬巴水(かわせはすい)らが参加して世界で人気となりました。そこには洋画の構図等も取り入れてさまざまな技術革新があったんですね。新版画のおかげで浮世絵の命脈を少なくとも100年保つことができたと言われています。
―今扱っている作品は?
オリジナルの浮世絵や新版画のほかに、復刻版や現代作家の作品を当店で摺師が摺っています。版画に興味のある方はぜひお店を覗いてみてください。まず見るだけで結構ですので(笑)。
がっちりして重厚な徳島、軽やかな家具調の静岡など、仏壇も産地によって特徴があるんですよ。

お話を伺った方3代目社長 渡邊 章一郎さん

渡邊木版画展示館

管理者:株式会社渡邊木版美術画舗(令和元年度認定)
東京都中央区銀座8-6-19
03-3571-4684
開館日:月~土(年末年始等を除く)
開館時間:月~土/10:00~18:00、祝/10:00~17:00
最寄り駅:新橋駅3番出口 徒歩4分、銀座駅B3番出口 徒歩8分
https://www.hangasw.com/
【年末年始の展示館および店舗の営業】
◎年内:12/28(月)18:00まで
◎年始:1/7(木)10:00より

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