まちかど展示館 エリア特集

銀座・京橋の「通り」へ、先人の技と文化を受け継ぐ展示館を訪ねました つくり続けて唯一無二の存在へ銀座・京橋の「通り」へ、先人の技と文化を受け継ぐ展示館を訪ねました つくり続けて唯一無二の存在へ

銀座かなめ屋・かんざし和装小物展示館

かつては花柳界と和装の店で賑わった見番(けんばん)通りで、
江戸べっ甲と和装の文化を今に伝え続けます。

店内のショーケースに希少なべっ甲製品を展示。この「総白べっ甲花嫁かんざし一揃え」は、精緻な透かし彫りが本当に見事。ほかに工具や文献等も。(展示内容は不定期に変更)

べっ甲製品とは?

べっ甲はウミガメの一種、玳瑁(たいまい)の甲羅を材料とする天然素材。やや黄みがかった透き通る「白べっ甲」、黒光りする「黒べっ甲」、それらが交じったまだら模様の「茨布(ばらふ)べっ甲」の3種。中でも白べっ甲は甲羅全体のわずか10%程度と大変貴重です。製品化には、べっ甲の膠(にかわ)の性質を用いて、「水」と「熱」により何層にも重ね合わせ成形していきます。製造過程では一切化学物質を使わず、最後は土に帰ります。

かなめ屋創業80周年に製作した白べっ甲彫りかんざし。近年のドラマ『黒革の手帖』では主演女優が身に着けていました。

黒べっ甲に金蒔絵や螺鈿(らでん)を施したかんざしは、黒留袖や準礼装に。

これは何の字?店内には漢字の原型と言われる亀甲文字をモチーフにした書が飾られています。〈答えは「簪(かんざし)」〉

創業時から使う包装紙は祖父・兼秋さんが勾玉(まがたま)をイメージしてデザイン。それをモチーフに80周年に製作したべっ甲かんざしには、他に類を見ない青色金蒔絵に8石のダイヤが。

「かんざしの目利き」と言われた初代・柴田兼秋さん。当時見番通りには、芸者さんを乗せた人力車がずらっと連なっていたとか。

昭和20年前後のお店。2階は住居。周囲には置屋や芸者さんの家が多く、和装品の店も多数あったそう。

総べっ甲の扇子など貴重な品も展示。
茨布の独特の柄が個性的!

細長い店内に頭から足先までの和装小物が揃います。本革を使った草履の品揃えも充実。店内奥の看板は初代の頃の店先にあったもの。

今年注目を浴びた妖怪アマビエ様や、江戸時代にコレラの流行を予言したという霊獣ヨゲンノトリを手描きした、オリジナルの男性扇子。

小風呂敷や匂い袋、根付など可愛らしい小物も。

―江戸べっ甲とは?
べっ甲のかんざしや和装小物は江戸発祥。江戸中期頃に長崎からべっ甲職人と共に製造技法が伝えられ、装身具として加工技術が洗練されました。今日、東京都と国の伝統工芸品に指定されている江戸べっ甲の始まりです。
―べっ甲製品づくりの状況は?
鎖国時代、長崎では日本を訪れる外国人にべっ甲の装飾品や調度品が大いに珍重されたと言います。現在は、ワシントン条約によって製品・原料とも国際取引が全面的に禁止されており、それ以前に輸入された在庫を使っています。また高齢化や廃業が続くべっ甲職人も気懸り。キモノは日常着から、一生のうち成人式、結婚式などの儀式で着る「特別な衣裳」となってしまい、さらにレンタルの波も。せめて小物はホンモノを次の世代に受け継いでいきたいという方には、べっ甲をおすすめします。
―べっ甲以外の品は?
和装小物の専門店が少なくなる中、うちは、頭の先からお足元まで肌着を含め一式を取り揃えています。価格もホンモノ志向からお求めやすいものまで。扇子は涼を取る紳士用・婦人用、黒留、色留袖用の末廣などTPOに合わせて京都から厳選し、本革の草履は独自に制作しています。何か和装小物でお困りの方はぜひお気軽にお尋ねください。
祖父の代から「かなめ屋のかんざし」といえば有名で、今でも地方の花柳界の方がいらっしゃいます。

お話を伺った方3代目店主 柴田 光治さん

銀座かなめ屋・かんざし和装小物展示館

管理者:株式会社かなめ屋柴田(平成30年度認定)
東京都中央区銀座8-7-18(見番通り)
03-3571-1715
開館日:月~土(祝日・年末年始等を除く)
開館時間:平日/11:00~20:30、土/12:00~19:00
最寄り駅:銀座駅B3番出口 徒歩5分、新橋駅銀座口 徒歩3分
https://www.kanameya.co.jp/
【年末年始の展示館および店舗の営業】
◎年内:12/29(火)20:30まで
◎年始:1/4(月)11:00より

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