まちかど展示館 エリア特集

銀座・京橋エリア特集 Part.4 川があった時代を越えて今へ銀座・京橋エリア特集 Part.4 川があった時代を越えて今へ

渡邊木版画展示館

世界の著名人も愛蔵する「新版画」の美しさを発信し続ける版元。

「THE 新版画」展に出品された作品のポストカード。

左)「東京二十景」の一作。京橋川の「大根河岸の朝」。
中)中央通りと昭和通りの間に在った三十間堀川を描いた「三十間堀の暮雪」。
右)「東京十二題」で描いた「大根がし」。

浮世絵や新版画から現代作家の作品まで、版画で埋め尽くされた渡邊木版美術画舗の店内は見飽きることがありません。

汐留川から城のような映画館「銀座全線座」を臨む。
※銀座八丁目/昭和40(1965)年

―川について何か思い出はありますか?
運河(汐留川)があったのは、微かに覚えています。まだ1、2歳の頃、祖父が押す乳母車に乗せられて運河沿いに土橋から新橋辺りを散歩した情景を、今もたまに夢に見ます。その時は不思議と音や匂いも蘇るんです。川は匂いが酷かったですが、埋め立て後は「匂わなくなったね」と話していました。川にはおでん屋を営む小舟が浮かんでいて、その後「銀座九丁目」という店名でギンザナインで数年前まで営業していました。当店のビルは昭和44年に建てられました。当時は、隅田川の花火がここからも見えましたし、屋上の給水塔に登れば房総半島まで望めた時代でした。
―THE新版画展が各地で開かれましたが。
この展覧会は副題として「版元・渡邊庄三郎の挑戦」と、私の祖父の名がつけられ、2026年まで巡回します。私も講演で各地を回っていますが、反響も大きく、お陰で来客も増えています。ただ今は、紙不足で供給が追いついていません。版画には越前奉書紙を使いますが、原料のコウゾとミツマタ、それ以上に人手も不足しているのです。新版画といえば川瀬巴水が人気作家のひとりですが、京橋川や日本橋など、中央区の川の作品を何点も残しています。
当店横の路地は、隠れた名所「出世街道」の出発点なんです。

お話を伺った方3代目社長
渡邊 章一郎さん

渡邊木版画展示館

管理者:株式会社 渡邊木版美術画舗
東京都中央区銀座8-6-19
03-3571-4684
開館日:月〜土曜日(年末年始等を除く)
開館時間:月〜土曜日/11:00〜18:30 祝日/11:00〜17:00
最寄り駅: JR新橋駅3番出口 徒歩4分 銀座駅B3番出口 徒歩8分

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